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自由貿易はどんな時もWin-Win(保護貿易でも消費増税でも、デッドウェイトロスが発生する)

日米貿易協議が両国間で合意されたようだ。
日本はTPP並みに輸入農産物の関税を下げる一方、米国が輸入する自動車にかけられている関税は当面撤廃されない事になったようだ。
もう少し詳細が欲しいところだが、もしかしたら日本が譲渡した部分の方が大きいのかもしれない。
事実、今回の交渉は日本の負けなのではないか?そんな意見もネットで見かけた。
しかし、安倍首相は今回の交渉を「Win-Win」だと言っている。
安倍首相の言っている事が正しいのであろうか?
それとも、今回の交渉が負けだったとの主張の通り、日本の負けなのであろうか?

そもそもの話であるが、自由貿易交渉によっては勝ち負けはないというのが正しいようだ。
少なくとも損得という話であれば、自由貿易を推進する事は両国にとって得なのだ。

かなり古い音声だが、飯田泰之さんと三橋貴明氏がTPPについて議論をしているものを見つけた。
その中で飯田さんは「貿易を含む取引は勝ち負けではない。米国が得で日本が損をするというものではない。」という話をしている。
そして、「日本の企業が米国から何かを買うのは、その方が得だから買っているのである。売る側と買う側両方とも得でなければ取引は成立しない。」というような事を言っている。
つまり、自由貿易の世界(もっと言えば全ての取引)では、売る方、買う方両方の国にとって利益があるWin-Winの関係なのだ。

これだけでも、安倍首相の言うようにWin-Winである事を説明するのに十分だと思うのだが、高橋洋一さんが経済学的にグラフを使って説明しているので、それについても以下に書きたい。

20191007_212733.jpg

---以下引用
まず関税が掛かっていないシンプルなケースを考えてみます。
図6を見てください。
横軸のQは数量、縦軸のPは価格で、Dは需要曲線、Sは供給曲線です。
価格が下がるほど買いたい人が増えますので、需要の数量は増えていきます。
需要曲線 D は右肩下がりになります。
反対に価格が上がるほど売りたい人が増えますので、供給量は増加します。
供給曲線Sは右肩上がりとなります。
SとD の両者が交わった点が取引される価格です。

仮にこの価格をCとします。消費者の中にはCより高い価格でも買っていいと思っている人もいます。
そういう人はCの価格で買うことができると得をします。これを「消費者余剰」と言います。
三角形A・C・Fが消費者余剰になります。

次に供給者のことを考えてみます。供給者の中には価格Cよりも安い値段でも売ってもいいと思っている人もいます。
そういう供給者にとっては、価格Cで売ることができれば得をします。
これを「供給者余剰」と呼びます。
図では三角形C・E・Fが供給者余剰です。
「消費者余剰」と「供給者余剰」を足した部分がこの取引をすることによるトータルの利得です。
---以上

消費者余剰、供給者過剰について「瞬時に分かる経済学」というサイトに、もっと丁寧に書いてあったので以下に引用したい。

----消費者余剰についての引用
例えば、A,B,C,D,Eの5人の消費者がそれぞれ100円のりんごを1つ買おうとしているとします。また、Aさんの支払許容額が200円、Bさんの支払許容額が150円、Cさんの支払許容額が130円、Dさんの支払許容額が100円、Eさんの支払許容額が80円とします。

このとき、Aさんの消費者余剰は200-100=100、Bさんの消費者余剰は150-100=50、Cさんの消費者余剰は130-100=30、Dさんの消費者余剰は100-100=0となります。

さて、Eさんの消費者余剰はどうなるのでしょうか。Eさんの支払許容額は80円であるということから、りんごに対して80円の価値しかないと思っています。しかしその一方で、りんごは100円で売られています。この時、Eさんはりんごを需要しません。何故なら、りんごには100円の価値が無いと考えているからです。
(略)
以上のことから、市場全体の消費者余剰は100+50+30+0=180であるということが分かります。
----

つまり、市場に参加している者消費者全員の利益の合計が180円という事になる。

---以下供給者余剰(生産者余剰)についての引用
例えば、L,M,N,O,Pの5人がそれぞれりんごを1つ生産しているとします。さらに、Lさんは400円のコストでりんごを生産でき、Mさんは500円で、Nさんは600円、Oさんは700円、Pさんは800円でそれぞれ生産出来るとします。

そして、りんごの価格が650円に定まった場合を考えてみます。りんごの価格が650円の時、Lさん、Mさん、Nさんはりんごを販売しますが、OさんとPさんはりんごを売りません。

何故なら、650円で販売してしまうと、掛かった費用以下の価格で売ることになるので、販売することによって損失が発生することになるからです。

このとき、Lさんの生産者余剰は650-400=250、Mさんの生産者余剰は550-400=150、Nさんの消費者余剰は650-600=50となります。
(略)
以上のことから、市場全体の生産者余剰は250+150+50=450であるという結果が導けます。
---

以上の引用のMさんの生産者余剰は、650-500=150の誤りと思われるが、市場に参加している者消費者全員の利益の合計が450円という事になる。

20191007_212754.jpg

では、関税をかけるとどうなるのか?

---以下引用
では、関税をかけるとどう変わるのか(図7)。
図の供給曲線がSからS’の位置に移動します。関税分だけ値段が上昇しているということです。

関税がかかったケースでは、消費者余剰と供給者余剰が変化します。
消費者余剰は三角形 A・B・G。 消費者余剰は三角形B・D・Gです。
その下の平行四辺形D・E・H・Gの部分が関税です。関税は国の取り分です。
この取引によるトータルの利得は三角形A・B・G( 消費者余剰)、三角形B・D・G( 供給者余剰)、平行四辺形D・E・H・G(税金)の合計です。

さて、関税が掛かっていないケースと、関税がかかっているケースのトータルの利得の面積を比べてみてください。
両者を比較すると関税がかかっているケースでは、三角形G・H・Fの部分だけ面積が小さくなっていることがわかります。
この部分を「デッドウェイトロス」と言います。国全体のトータルではロスが出るということです。
「デッドウェイトロス」の部分はどうしても取り戻すことができません。
関税を課すことによって絶対にカバーできないロスが生じるのです。
関税を引き下げれば、デッドウェイトロスの分を取り戻せます。
誰の利益になるかは分かりませんが、全体では利益が増えます。

マクロで見ると関税引き下げが必ず得をするというのは、この理論が根拠になっています。
関税を引き下げれば得をする人もいますし、損をする人もいます。
農業従事者にとっては大きな損失が出るかもしれません。
しかし、国全体で見ると関税引き下げはデッドウェイトロスがなくなる分だけ必ず得をするのです。
---

関税をかけると消費者全体の利益も、供給者全体の利益も大きく減ってしまい、関税収入を得る事ができる国家の利益を足しても関税0の時の利益には及ばないのだ。
逆に言えば、いままでかかっていた関税を撤廃すれば、国全体で言えば得をする事になる。

ふと思って調べたところ、この事は消費税でも同じようである。
消費税をかける結果、図7と同じように供給曲線がSからS'の位置に移動、同じようにデッドウェイトロスが発生するようだ。
消費増税には僕自身、反対だったが、このようなロスが発生するとは想像もしていなかった。
この事が分かっていなかった事は反省したいし、とても勉強になった。


最後に、世の中には消費増税には反対だが、保護貿易には賛成という人がいる。
そういう人は経済が分かっていないか、ウソをついているか、どちらかという事になると思う。

参考:「「開国か?鎖国か? TPP参加の是非!」 飯田泰之 VS 三橋貴明
    高橋洋一「戦後経済史は嘘ばかり」
    瞬時に分かる経済学「消費者余剰の計算方法
    瞬時に分かる経済学「生産者余剰の計算方法]
    「死荷重の解説/余剰分析|ミクロ経済学(20)
    
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